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専業主婦を廃業した

グズな私には考えられないような素早さで私はその日、専業主婦を廃業したのだ。夫に「約束違反だ」と、非難されてもしかたがなかった。それも、悩んだり迷ったりもせず、相談すらしないでの選択なのだから、たちが悪い。けれども、夫は何も言わなかった。なぜ何も言わなかったのだろう。どうして、「俺に断わりもなく」と、すねなかったのだろう。長いこと不思議に思っていたのだが、あえて聞いてみる気にはなれなかった。そんなやぶへびみたいなことをして、「実はいやでたまらなかったんだ。ちょうどいい、今日でエッセイなんて書くのやめろ」などと、言われたら困る。それでなくても、彼は私が「ああ、うまく原稿が書けない。才能ないってわかっていて書くんだから、消耗がひどい。もうやめようかなあ」と、ぼやくと、「おお、そうしろ、やめろ、やめろ」と、拍手するのだから。