丹下都市建築設計(代表一丹下憲孝)は、建築と一体化したLEDのカラーライティングに積極的に取り組んできた。その目的や手法は多様だが、初めて採用した2003年の「サルヴァトーレフェラガモ銀座本店」や、06年の「あおぞら銀行日本橋支店」など、ファサードの光でブランドカラーを表現するケースが目立つ。サルヴァトーレフェラガモ銀座本店は、ビルの上部を赤いラッピングボックスに見立て、白いリボンをかけたようなデザインだ。クライアントは、「フェラガモレッド」と呼ぶ深い赤の再現を非常に厳密に考えていた。そこで、3原色の混合を微細に調整できるフルカラーのLED照明を採用した。「赤いパネルに、さらに赤い光をあて、フェラガモレッドに見せています。クライアントの立ち会いのもと、現場で念入りに光の色を微調整しました」と丹下都市建築設計副社長の高橋良典氏は振り返る。単に面発光させるのではなく、人の歩くスピードや呼吸に合わせて発光パターンを4分間隔で市松、縦縞、横縞に切り替え、ブランド店舗のひしめく銀座で、効果的に存在感を打ち出している。ランドマークとしての性格を与えるためにLEDを導人したケースもある。銀座西5丁目の交差点に面して建つ「GINZAMST」は、事務所ビルを店舗ビルに改修したものだ。交差点を特徴づける目印となり、にぎわいを誘発するビルとなることをオーナーは望んだ。そこで、光がきらめく様子を外壁で見せ、銀座にふさわしい上品さと高級感のある華やかさを同時に表現したいと考え、外壁にT字型に設置したLED照明をディスプレイとして扱い、映像を流す手法を選んだ。「電球色を基本としたCG映像をペースに、4つのシーンを数分ずつ流す1時間の演出プログラムを組みました。これなら通るたびに楽しみがあり、華やかさも生まれるはずです」と同社の石田和也氏は話す。「カラーライティングには、建築の昼の顔だけでなく夜の顔をデザインする面白さがあり、使い手が後から演出を変えられる点が新しい」と丹下氏は語る。あらかじめプログラムをいくつも設定しておけば、ビルの運営者が簡単な操作で演出を変更できる。さらに、引き渡し後も、丹下都市建築設計では、必要に応じて新たなプログラムを追加することをオーナーに提案している。カラーライティングは「変化し続ける建築仕上げ」であり、光の演出によって建築の印象を一新できるという考え方だ。