昔は職人が手でレバーを押して送りをかけて使っていた。しかし、このときには機械の送りをかけさせるほど人的余裕もない。そこで、一計を案じ、レバーに砂袋をぶら下げた。砂袋の重みを利用しようというわけである。また、トランスファーなどには工程分割の手法を取り入れ、不良をつくらずに、数ができるよう対処した。こうしたことで、トヨタでは特別な新規投資もせずに、まんまと日産より排気量の大きなカローラをつくってしまったのである。
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仕事が急に忙しくなったからといって、新規に人間を雇ったり、設備を入れるとそれがただちにコストにはね返ってくる。しかも、万一、売り出したクルマが売れないとなれば、それこそ設備が過剰に変じて負担になる。しかし、トヨタ生産方式の推進者たちはこのときも知恵を出し合い、さまざまな工夫を凝らし、安上がりに急場をしのいでいった。