英語の本の場合はどうだろう。訳書がでるのは、原著が発売されてしばらく経ってからである。以前なら、訳書は簡単に買えても、原著を買うのは容易ではないという事情があったが、いまでは英語の原著はじつに簡単に短期間に手に入る。値段もそうは変わらないし、訳書の方が高い場合も少なくない。訳書の方が早く読めるし、内容を深く理解できると納得できるのでなければ、原著を読むという読者がかなり多いとしても不思議ではない。第二に、もっと大きな問題がある。日本語を大切にしない傾向が強まっているのである。最新のヒット曲を聞いてみれば、この傾向がいかに強いかがすぐにわかる。言葉を武器に人を動かすはずの政治家が、あやしげなカタカナの言葉を使いたがる点をみても、この傾向がいかに強いかがわかる。英語風に聞こえるカタカナの言葉を使うのが、かっこいいと勘違いされているようだ。このような風潮が極端な形であらわれたのが、教育を英語で行うべきだという主張である。英語をもっと教育するというのではなく、英語で、たとえば科学技術の教育を行うべきだと主張されるようになってきたのである。