桐のたんすと言えば、高級だんすの代名詞のように言われている。桐は虫が付きにくく、湿度の調整をし、軽くて加工も容易であり、無垢材だからシックハウス症候群の心配もない。見た目も美しいので、私の好きな木の一つでもある。また、壁収納なら地震で倒れる心配もなく、畳も広く使える。引き出しとそれを納める箱は、両方とも桐でできているため、引き出すときに桐と桐とが擦れることになるが、実にスムーズで、擦れる面がかえって滑らかになるのが不思議である。この引き出しが直接見えないよう、全面に総桐の開き戸を付けた。戸は六枚組みになっていて、右二枚分かこれまで説明してきた引き出しが入ったたんすの部分である。左四枚分か布団などを収納する押入れである。デザインの美しさ、統一感や調和を考えた。しかし、いい無垢の建具はコストがかかる。造り付け家具は、どのメーカーでも基本的にオプションになるし、その中でも無垢の扉を使うとなると、どうしても高いものになってしまうだろう。桐は、白くて実に美しい木だが、少し黒くなっている部分もある。自然の木なので、そこは容認したいものだ。無垢の木は、色を揃えたり木目を合わせるだけで、相当高いものになる。多少の色むらも当然ある。たんすの引き出しの前に扉を付けるのは、それだけ余分であるともいえるので、建具を付けない方法もある。この桐の引き出しだけでも美しいし、扉がない分便利になり、コストも抑えられる。