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有力な新規顧客の開拓に成功

「この会社ではいくら業績をあげても、それに見合った報酬は得られない」という矛盾を感じたことが、Sさんにもこれまで何度かありました。バブルがはじけて会社全体の業績が落ち込んでいたころ、Sさんは有力な新規顧客の開拓に成功し、起死回生ともいうべき大量受注をかち取ったことがありました。それこそ「夜討ち朝駆けで、われながらよくやった」と思ったものです。でも、それだけ貢献をしていながら、個人的には何ひとつ報いられることはありませんでした。

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しかもその後、Sさんはこのころの無理がたたって体をこわし、数か月会社を休むことになってしまいました。はじめの一か月あまりこそ、有給休暇と休業保険でふだんとほとんど変わりない収入があり、妻も「こういう時こそサラリーマンね」とありがたがっていました。しかし、入院生活が長びくと支給額は七割に減額され、厳しさが身にしみたものです。それにもましてガッカリさせられたのは、病気が治って職場に復帰した時でした。せっかく苦労して開拓した得意先は同僚が担当することになり、Sさんの元には二度と戻ってこなかったのです。賞与も標準以下に落とされてしまいました。「休んだのだから仕方ない」とはわかっていながら、何か割り切れない気持ちが残りました。